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『アウトドアリビング』を楽しむためにお庭につくっておきたい5つの事

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児玉秀太 / 建築デザイナー&土地アドバイザー

『アウトドアリビング』を楽しむためにお庭につくっておきたい5つの事

はじめに

リモートワークやワーケーションといった新しい言葉が生まれ、多様な働き方やライフスタイルが定着してきています。アフターコロナの時代においても、家で過ごす時間をいかに豊かに過ごすかというテーマは、自分の人生を有意義にしたいという誰もが持つ普遍的な欲求ともリンクしています。

家に居ることを苦痛を感じ早く「外」に出たいと感じる人と、家にいる時間が楽しく充実して「外」に出なくても心穏やかに過ごすことのできる人との違いはなんでしょうか?。

一つには家での居心地の良さが関係していると考えます。家時間を快適に感じる居心地の良さは、「家」と「庭」の組み合わせで何倍にも高められると感じます。「家」と「庭」を掛け合わせると「家庭」という言葉になります。そこには「家族が暮らす場所」という意味があり、社会生活や仕事で緊張した心身をリフレッシュし活力を取り戻す役割があります。

自身を含めたご家族がより充実した時間を家庭で過ごすためのヒントとして、本稿では『アウトドアリビング』をトピックに、お庭につくっておきたい5つの項目を挙げて紹介していきます。これからお庭づくりを検討する方はもちろん、今のお庭をさらに魅力的にしたい方、アウトドアやエクステリアにご興味ある方、家時間を充実させたい皆様の参考になれば幸いです。

 

菜園スペース

屋外で食べるご飯が美味しいと感じるのは多くの方が共感するところだと思います。室内で食べるより美味しいかどうかの学術的な考察はともかく、屋外で食べる特別感と大切な人と一緒に食事をする体験、そして一体感やそこに生まれる「思い出」が食事を美味しくするのではないでしょうか。自然の風と開放感に身を委ねることもスパイスとなり、かけがえのない家族の時間となるはずです。

キャンプ場に出かけなくても楽しめるレジャーとしてお庭での『おうちキャンプ』やBBQは最高です。そこでご紹介したいのが「家庭菜園」です。BBQで使う野菜類をスーパーで買うのではなくお庭からの採れたて野菜に変えることで、更に食事が美味しくなるはずです。鮮度はもちろんのこと、ご自身が手をかけて育てた野菜には愛情という旨み成分が入っていますので、美味しくないはずがありません。

菜園自体は小さくても構いません。まずはプランターから始めて慣れてコツが掴めたら地植えするように段階的に進めれば、お庭にスペースを作るのが難しくても手軽に菜園づくりができるのでおすすめです。土に触れる体験は健康増進にも役立つことが実証されているようです。野菜や果物を育てて食べることから、心と身体を整えてみませんか。

 

木陰をつくる

夏場は暑くてとても屋外に出ていられないと感じる方も多いと思います。暑さや日除けの対策はいくつかありますが、可能であれば木陰をつくることをお勧めしています。過ごしたい場所に木を植えるという方法です。

映画等で家の柱にお子様の身長を刻んで成長を願う慣習を見かけますが、現代の家は柱を室内に露出しないことが多く、家族の成長を住まいで実感する機会が減っています。しかし身長を刻まなくてもお庭の木の背丈や年輪には家族と同じ時間を過ごした歴史が刻まれていきます。また鳥や虫が来ることで音や動きが生まれ、お庭にまつわる様々なストーリーも生まれていきます。

木には時間とともに価値を高めていく、お金に変えられない魅力があります。加えて夏場のメリットとして空気を涼しくする効果があります。植物には葉から水分を蒸発させる「蒸散」という作用があり、熱を奪って周囲を涼しくしてくれます。建物に当たる直射日光や反射光を減らし季節の移ろいを感じられるなど植物の恩恵は大きく、夏に盛んになる蒸散効果は屋外で快適に過ごす環境づくりに活かしたいポイントです。

屋外の環境は毎日違うので、植栽も季節や天候によって日々表情を変えていきます。外に出られない雨の日でも、雨音を聞きながら濡れた庭の緑を眺めることは独特の気持ちよさがあります。お庭にあまり緑が無い方も、手間をかけなくても元気に育ってくれる1本から植樹を検討してみてはいかがでしょうか。シンボルツリーを一本植えるだけでお庭の印象はガラッと変わってくると思います。

日当たりや土壌の性質、樹木の種類によって適した生育環境は異なります。もともと敷地にあった木や、お家の周囲の植生を見ることも参考となります。どんな木がその土地にマッチしているか、植えるタイミングはプロに相談していただくことをお勧めします。

 

ハンモック

木陰や日除けを作ったら加えたいのがハンモックです。今ではホームセンター・雑貨屋・アウトドアショップなどで自立式ハンモックも販売されていますし、樹木や構造物があれば固定式ハンモックを設置することも可能です。ハンモックに揺られながら本を読んだり、音楽を聴いたり、物思いに耽ったりして過ごす時間は至福の贅沢です。BBQやキャンプのように家族や仲間と過ごす時間は大切ですが、自分だけのくつろぎの時間も同様にどんな人にも必要だと思います。

直射日光の紫外線や風雨によってハンモックの生地は傷むので、片付けが容易な屋根や庇のある場所や木の下での利用をお勧めします。半屋外のアウトドアリビング(リビングに面して屋根がかかった室内の延長線上にあるスペース)での使用もお勧めです。お庭のリフォームをしなくても手軽に取り入れられる魅力があります。屋外で過ごす快適な時間が増えていくことで気持ちも前向きになっていきます。

 

物 置

お庭を充実させるにつれて、芝生や樹木のメンテナンスグッズ、ガーデニング用品、アウトドアグッズ等が増えていきます。なので併せて考えていただきたいのが物置。いろいろ取り入れてみたはいいけど、物置の容量や印象に合うデザインを考えていなかったことで、使いづらく結局どれも中途半端になってしまったということにならないように、あらかじめお庭とセットで考えることが大切です。

収納は家の場合と同じく重要です。メンテナンスグッズが手近な場所にないせいで庭の手入れが億劫になっては元も子もありません。とはいえ安易に設置すると緑や木々の佇まいを邪魔してお庭の雰囲気とミスマッチになる場合があります。周囲の雰囲気に合うデザインを工夫したり木造物置を造作することもできますので、風景として俯瞰するイメージを持ちながら計画をしてみてください。

 

ガーデンファニチャー

前述のハンモックは木陰での使用を想定していますが、一方で日光浴を健康増進に取り入れてサマーベッドを設置するリゾートスタイルもあるように、食事をする、お茶をする、読書や仕事をするなど、お庭での時間が増えるほどガーデンファニチャーの重要性も増してきます。

座る場所があれば不思議と座りたくなるものです。逆にお庭に出るたびに椅子や机を用意するとなれば屋外に出る気力も半減してしまうので、屋外に出しっ放しでも使える素材選びも重要です。屋外使用では耐UV・耐錆などの耐久性が課題となります。

いずれにしても経時変化は避けられませんが、劣化が目に見えて進む樹脂製品に比べて木や石などの自然素材であれば適切なメンテナンスをすれば劣化の進行も遅く味わいとして感じられます。お庭時間をより身近に、魅力的にするために、毎日使いたくなるようなガーデンファニチャーを探してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

「『アウトドアリビング』を楽しむためにお庭につくっておきたい5つの事」というテーマで紹介してきました。5つの項目全部を取り入れることも、全く別の要素を取り入れることも本稿を読んでいただいた皆様の自由です。

「お庭づくり=家庭づくり」をきっかけに、自分たちのライフスタイル、家族との向き合い方、家時間の使い方のヒントとしていただけたら幸甚です。最後までお読みくださいましてありがとうございます。

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児玉秀太 / 建築デザイナー&土地アドバイザー

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