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都田建設がドロフィーズキャンパスをつくり地元を大切にするその理由とは
ドロフィーズキャンパスで、インテリアや家具、ファブリック、そしてカフェや都田駅、BOOKストアーなどを散策しながら、都田という日本の典型的な田舎と北欧が融合する世界を体験してくださることを本当に嬉しく思います。
26年前に生まれた小さな建築会社であった都田建設は、この地域住民の方々と一緒に少しずつ成長してきました。私たち都田建設が、なぜドロフィーズキャンパスをつくり、そして一企業が地元を大事にする理由をお伝えしたいと思います。
都田の街と
都田建設のストーリー
3人の工務店から
1999年、現社長である蓬台浩明は都田建設に一社員として入社し、創業者の内山覚と事務パートの女性一人という3人で細々と工務店としての仕事をしていました。内山は自らの生まれ育った都田の住民に、自らの仕事である大工としての道を通していずれ誇れる会社にしたいという夢を持っていました。
そして蓬台は、学生時代に世界中の小さな街を訪れて感じた人を惹きつける魅力に感動し、いずれ日本にも世界の人が住みたくなる街づくりをしたいと考え、その一歩として建築の道に進みました。そして互いにこの都田の地で切磋琢磨することになったのです。
社員の夢を一つの紙に
スケッチしたある日
そんな中、新築の家づくりにおいて都田建設が大切にし続けてきた、職人の手仕事、自然素材を大切にする、お客様が涙を流すほど感動する家づくり、完成してからのつながりの深さ、などが次第に口コミで広がりはじめ、当初、年間新築1棟でほとんどが小さなリフォームの仕事しかなかった私たちは、2005年には年間新築45棟を建てるようになりスタッフも30人を超えるようになっていました。
そんな中、日々仕事にやりがいをもってチャレンジする全社員に、社長である蓬台が「皆はこの建築の仕事を好きで頑張ってくれている。そして建築以外にも何か夢や将来やってみたいことがあるなら、一度、皆でその夢を語ろう!」と話をしました。あるスタッフは、カフェをやってみたい、陶芸教室をしたみたい、また学校の先生をやってみたい、インテリアショップをしたい、ペンションをつくりたい、ウェディングの仕事もしてみたい… 沢山の夢がその場に溢れたのです。
そして、蓬台はそれらの夢をすべて詰め込んだ街の絵をスケッチしました。そして数日後にはその絵が3M×3Mに拡大され、フラッグとして都田建設の本社の中心に飾られたのです。そのフラッグは今もずっとそこに存在し続けています。
街の衰退が加速していく…
しかし当時、この都田は多くの若者が都市部へ就職し引っ越しが続いて活気がなくなり寂しい村への一途をたどっている状態。そしてご高齢の住民は自分の田畑に手を入れることが難しくなって、管理しきれない荒れ果てた土地がさらに将来への不安となっていらっしゃいました。
空き家となった古い建物・小屋・蔵などは、使われなくなると一層傷みが激しくなり、村の景観が乱れ、そうなると車からゴミを捨てられたり大型の廃棄物が持ち込まれ、それらが放置されることでより一層村に対する愛着が薄れているような状況でした。
日本の地方にはこのような町が沢山あります。今では地方創生と言われ政府も力を入れ始めていますが、当時の観光資源が乏しい農村では、たとえ故郷といえども仕事と暮らしを成り立たせようとするには勇気がいる状態でした。何よりも住民にとって土地はご先祖様からの財産であり命と同じくらいに大切です。だからこそ人に貸したり売るという判断は簡単にできることではありません。
その頃、私たち都田建設はひたすらに「建物をつくる」に専念しながらも、地域のおじいさんやおばあさんの声に耳を傾けながら、ご近所づきあいを心より楽しみながら大切にしていました。
キッカケは家づくりのご家族の声とつながりから
都田建設のセンスで暮らしを提案してほしい
都田建設は、小さいながら地域に根差し浜松周辺エリアの新築・リフォーム工事を行っていました。そして、少しずつ都田建設の「顔の見える家づくり」「つながりを大切にする家づくり」「未来を想像できる家づくり」に共感いただいたご家族様のご紹介により、2007年には年間100棟の家づくりができるまでに緩やかに成長していました。
そんな中、新築を実現してくださったご家族様から、お庭づくりもやってほしい!家具も提案してほしい!カーテンも一緒に買いに行ってほしい!という依頼を受けるようにもなりました。
住宅会社は、建築の専門として家だけ建てている会社であることがほとんどです。私たちも当時はまさにそうでした。家という「モノ」を作るのみ。ご家族様の暮らしやライフスタイルをトータルに提案したり、ご入居後の暮らしを良くする情報やモノを提案しようしていなかったのです。
ところが、家づくりに感動してくださったご家族様の声によって、都田建設が考える美しい暮らしや生き方をモノやコトとして、インテリア、お庭づくり、カフェ、レストランをつくりたいという思いが蓬台の心を突き動かしたのです。
一店舗目のドロフィーズインテリアが生まれるまで
一店舗目であるドロフィーズインテリアをオープンしたときのこと。
始まりは、都田建設の事務所のすぐ近くで工場を経営していた方が廃業されるということで、その建物を使ってくれないかという依頼からでした。私たちが求めていたというより、自然な流れでその場所を地元の地主様より使ってほしいという言葉をかけていただけたのです。そして社長の蓬台自身が設計施工リノベーションを行い、2009年8月に無事にオープンすることができたのです。
地域に存在しながら生まれ育った地域に恩返ししたいと願う創業者・内山覚の思いと、都田建設の進めるライフスタイルを家づくりでご入居されたご家族様にお伝えしたいという思い、この場所から夢を叶えたいというスタッフの思い、そして地元住民の気持ちが重なり、ドロフィーズキャンパスの第一歩を踏み出したのです。
ご入居後のつながりを大事にし続けたい思い
新築が完成すると、住宅会社は点検やアフターメンテナンスで住まいを訪問することはありますが、施主様ご家族が建築会社を訪問するという機会はほとんどなくなります。
日本中で年間多くの新築完工が行われていますが、特別な場合がない限り住宅会社とのご縁が薄くなるのは当然とされていました。計画中は何度も会社を訪れ、何時間も図面を見ながら打合せした場所であっても、それは自分の家というモノを建てる為の手段。だから家づくりが終わったら住宅会社に行く理由がなくなるのは当然です。
都田建設は、それではダメだと思っていたのです。家づくりが終わったご家族もいつでも気軽に遊びに立ち寄り、そして入居してからのお困りや疑問を解決したり、社員との再会で深いつながりを感じ合い、そして新たな暮らしに少しでも役立ててもらえる情報をお伝えし、いつでもアフターメンテナンスの窓口をオープンにすることで、新築後の本物の安心感でご家族と結びつく関係をつくりたい。
都田建設を選んでくださったご家族を守る使命感と言っても過言ではない、ドロフィーズの念いの象徴がドロフィーズインテリアなのです。
1万坪に広がる
ドロフィーズキャンパスへ
ドロフィーズとは「Dream(夢) Love(愛) 自由(Freedom) 仲間(複数形の’s)という、人生を躍動して生きる上で大切にする価値観とした都田建設のブランドとしての造語であります。
2010年に現ドロフィーズキャンパスの統括マネージャーである木野ゆり奈が加わり、2013年からその職に就くことにより、都田の空き家となった古民家や荒廃地を再生しながら、緩やかなペースではありますが施設が次々と完成していきました。そしてその施設のインテリアや商品のセレクトそしてディスプレイは彼女の感性によって変化し続けています。
2015年には天竜浜名湖鉄道から依頼され都田駅カフェをスタート。「世界に一つしかないスローライフが始まる駅」として、マリメッコと無人駅舎の融合とそのデザインがGOOD DESIGN賞に選出されました。そしてスローライフトレインの運行が始まり、ドロフィーズの世界観が列車という人々の日常の交通手段に溶けこむように、地域と繋がり続けています。
住民からの愛
この1万坪に広がるドロフィーズキャンパスは、都田建設の施設、地域住民の家々、製造業者様の工場などが田畑の中に点在しています。そして都田建設の22の施設の土地のほとんどが地域住民から無償でお貸しいただき、その場所をリノベーションやお庭などで緩やかにつながるよう再生を続けてきました。
地主様の32世帯のご老人様方が、私たち都田建設の家づくりや社風力、そして地域を愛する活動に共感をいただき、快く大切な資産を提供してくださったのです。そしてその住民の皆様が、この場所に若い人が戻ってくること、笑顔や笑い声が響くこと、この街は素敵な所だねと言ってもらえること、そんな悦びを私たちの活動とともに分ち合ってくれています。都田建設の1999年からの思いが20年の歳月の中で緩やかに実現してきたのです。
なぜ、北欧なのか
「なぜ北欧なのですか?」と聞かれることがあります。それは、都田建設の家づくりで大切にしてきたことによるものです。下記の6つの価値観になります。
- 自然環境を大切にすること
- 使い捨てではなくモノを大切にすること
- 心と身体に優しいこと
- デザインがシンプルで飽きがこないこと
- 作り手の顔が見えるモノや素材を扱うこと
- 人と人のつながりを大切にすること
一人一人のご家族に向き合う家づくりで徹底的に磨き上げてきた姿勢を、このドロフィーズキャンパスの施設で扱う家具・雑貨・カーテンなどをセレクトする際にも変わらない姿勢として丁寧に選び、来店する方にその意味をご説明していました。
そして、ドロフィーズインテリアがオープンし数か月後に気づきました。セレクトした商品の約8割が北欧の製品であることを。私たちがずっと家づくりで大切にしてきた価値観が、現在の北欧の暮らしの中で営まれ大切にされているという共通点です。先に北欧ありき…ではなく、自分たちが大切にしたい生き方や考え方を表現していく中で、ドロフィーズは北欧的という視点が生まれてきたのです。
そして、現在は北欧のフィンランドやデンマークからもこの都田にお越しいただく方も増えました。彼女たちは「日本の魅力と北欧の美が絶妙に融合された場所」「世界に二つとない居るだけで温かい気持ちになる場所」と口々に言います。
日本の地方創生への
メッセージ
政府も行政も、地方創生・地域の魅力を見直そうと動き出しています。
私たちは行政の力を借りるのではなく、長年この場所に住み続けてきた地域住民ご老人の方々と一緒に街づくりをしてきました。地方創生の取組みというと、ほとんどが行政の補助金頼みなこと、都会からのコンサルタントが突然入ってくること、期日を決めてそこに向かって短期でつくろうとすること、パッケージだけで一時だけしか売れない商品づくり…このような既に多くの失敗例が日本中で積みあがっています。
私たちは20年かけて、そして地域住民との信頼をすべてのベースにしながら、若い感性で古き良きものに新しい命を吹き込む活動こそが、新たな時代の街づくりの在り方となることを実践し、世の中に既成事実として見ていただくことで、地域創生に取り組む多くの方々に少しでも勇気を与えられるならばと、ひたすらにこの場所の魅力を深め続けているのです。
都田建設がこの場所で
守り続けること
この場所を訪れてくださった方々から「境界があいまい」と話してくださることがよくあります。ドロフィーズの敷地なのか、住民の方の敷地なのか分からないという意味です。
互いが互いを許し合い認め合う関係性。言葉にするのは簡単ですが、寛容に受け入れ合いながら「お互いさま」の心を実践することは、長い時間の中で育まれることです。
ドロフィーズキャンパスでは、肩の力が抜けた自然体の暮らしのある景観を散策しながらインテリアを楽しみ、カフェでお食事を摂っていただき、蔵の本屋さんで新しい発見を手に取り、そして「白のMINKA」のホステル宿泊する… そういった体験を皆様のそれぞれの心境や自由な感性で受け留めてくださると幸いです。
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