家づくりの叡智- 家づくりの検討・比較

浜松で「薪ストーブのある住宅」をつくるメリットとは

浜松で「薪ストーブのある住宅」をつくるメリットとは

浜松エリアは温暖で過ごしやすいというイメージですが、冬の「遠州のからっ風」の冷たさは体感気温を8度ほど下げるとも言われます。薪ストーブは、雪が降る寒い地域で使うモノ… そんなイメージの方もいらっしゃいますが、実はこの浜松エリアでも薪ストーブライフを楽しんでいる方が年々増えています。晴天率も高く暮らしに自然を取り入れるライフスタイルを実現するには唯一無二の環境でありますので、ぜひこの記事でも薪ストーブを取り入れるポイントをお伝えします。

 

薪ストーブを住宅に取り入れる人が増えている理由は?

昨今、若い世帯では、住まいは単なる基本的な生活の場というより、よりライフスタイルを実現する、また自分らしさを表現できるステージのような位置づけで考える人が増えていますが、人生ではじめての家づくりを行おうとする方だけでなく、子育てを終えて終の棲家として第二の人生をゆったりと暮らしたい方の二度目の家づくりにおいても、自分たち家族らしさを取り入れる動きが急速に高まっています。

その理由は、人生100年時代と言われる中で団塊世代が退職され今までの生き方を見直し、より自然や人との関係性を自分らしく築きたいというニーズの高まり、そしてモノの贅沢だけでは心の充足感につながらないという認識が広がり始めたからでしょう。本物の心のゆとりとは何かを追求すると、薪ストーブのある家にたどりつく方も多くいらっしゃいます。炎のゆらぎを見ながら静かに自分の時間を楽しんだり、炎の前で家族団らんの時間を過ごしたり、大切な人と自然の光に包まれながら語り合ったり… 薪ストーブのある住宅で暮らすそのロマンは語り始めると尽きることはありません。

ここ浜松には豊かな森林が広がっていますが、その森林を持続可能にするためには間伐をして手を入れ続けなければなりません。そしていったん人の手が入った山の生態系は手を入れ続けなければ崩れてしまいます。その間伐作業で出た間伐材の利用方法としてストーブで使う薪が循環サイクルを生み出しています。薪購入によって発生するお金が地域の自然を守り山の整備に戻していく活動として。また浜松は農業も盛んです。特にミカンや柿の木などの手入れにより出る廃木材は薪ストーブの良い燃料として活用できるため、燃料調達が容易な浜松は薪ストーブライフにとってとても利便性の良い場所なのです。

 

暖かさを一度体験するとその魅力が

エアコンやガスファンヒーターを暖房器具としてお使いになられている方から、乾燥肌で困る、温風にさらされると気持ちが良くない、消すとすぐに室温が下がる、部屋によって温度が変わるので暖房器具を各部屋で稼働し電気代がかさむ。こんな不満の声はよく聞きます。薪ストーブはこのような不満を解消してくれるのです。薪ストーブは、その本体や煙突からの輻射熱によって家全体を暖めます。室内の空気はもちろん、壁、床、天井を薪ストーブから伝わる熱によって緩やかに温めていくため、薪ストーブで一度温められた空気と建物がその熱を保とうとします。だから冷めにくいのです

薪ストーブの暖房可能な空間容量(新築では建てる家の大きさ・リノベーションでは暖めたい空間)によって適切な薪ストーブを選択すると、一台で家全体の暖房が可能となります。真冬でも室内のすべての扉を開け放ち、各部屋の温度差がほとんど生じない快適な暮らしが実現できます。しかも冬でもTシャツ!という方もいらっしゃいます。エアコンなどのように温風で温めるのではないので乾燥肌になりにくいとも言われますし、薪ストーブから優しく伝わる熱は、何とも心地よい優しく包み込んでくれる感覚になるのです。

 

薪ストーブは単に温める機能だけではない!

暖を取ることが主目的と思われがちな薪ストーブですが、実はこの浜松エリアで薪ストーブを設置する方々はそれ以上に多様な愉しみ方を知っています。例えば…

  • ストーブでピザ、シチューなど多種多様な料理が楽しめる
  • 燃やす木の種類によって匂いが異なりその香りにアロマ効果がある
  • 子供に木や火の扱いを日常生活で教えられ自然の大切さを共に学べる
  • 燃えた後の灰を家庭菜園の肥料として使う
  • テレビを見るより薪ストーブの前で家族が会話する
  • 子供が部屋に篭もらなくなる
  • 可燃ごみとして捨てていた紙類を着火剤替わりに有効利用する
  • 剪定した庭の枝を細かく切って薪燃料として使う
  • 外出や帰宅の際もオン・オフを気にせず火をつけっぱなしでいられる

などなど、これはほんの一例です。

 

薪ストーブの設置とメンテナンスのコツ

身体と心を豊かで暖かくしてくれる薪ストーブですが、設置の際の配慮やメンテナンスのことも知っておかねば、いざ「設置はしたけれど結局は使わない…」ということになってしまいます。

設置する位置のワンポイントアドバイス

暖かい空気は下から上に上昇します。家でいうと「床近くから天井へ」また「一階から二階へ」です。薪ストーブは空気を暖める装置なので、一階が暖まりその空気が二階へと流れるような位置に設置することが大切です。しかし、例えば吹き抜けに薪ストーブを設置すると、吹き抜けから遠い位置にある一階の各部屋に暖かい空気が届きません。吹き抜けのある空間に設置しがちですが、ここはとても重要なポイントです。

一階に暖めたい部屋があるのであれば、天井が低い位置に設置し、暖かい空気が上がって緩やかに一階全体を満たしていくような場所を選びましょう。また、空気の循環を考えると吹き抜け空間の天井にはゆっくりと回るファンをつけることもお勧めします。二階の各部屋に温まった空気の移動を誘うことで家全体が温度差のない状態をつくりやすくなります。

向こう三軒両隣への配慮

薪ストーブ付き住宅が完成した後、近隣住民から一言でも煙の匂いについて指摘されると、とたんに薪ストーブを使うことを躊躇してしまい暮らしそのものも楽しめなくなります。敷地周辺の環境やご近所様との関係性も薪ストーブを気兼ねなく楽しく使う大切なこと。気になる場合は、薪ストーブを設置する旨の了解をさりげなく取っておくことを考えた方が良いかもしれません。良好な関係であれば、近隣の住民様が処分するお庭の木々や枝を提供してくれたりして良い交流につながることもあります。

薪の手配 ✕ 煙突掃除 ✕ 灰の処分

薪ストーブを暮らしに取り入れる際、下記の3点は必ず必要になります。薪ストーブの炎やその暮らしを思う存分に楽しみたいならば、次の3点を必要条件として受け入れられる人が薪ストーブライフをエンジョイできるといっても過言ではありません。

①薪の手配  ②煙突掃除  ③灰の処分 です。少しご説明します。

①薪の手配

薪ストーブに使う薪は乾燥していることがとても大切です。少なくとも丸一年は薪の状態で干されたものであること。二年間以上屋外に保存されていればベストです。もし乾燥状態が不十分だと煙突にススが付きやすく煙突掃除の回数を増やす必要があります。掃除を怠ると煙道火災の危険があります。

薪割りがされた乾燥状態の良い薪の調達先は、薪ストーブを設置した住宅会社に教えてもらうのがまずは安心でしょう。数多くの薪ストーブユーザーがいるからこそ薪調達の情報量も豊富です。薪ストーブを使い始めてから少しずつ自分で調達先を探しながらより安価で質のいい薪を仕入れていくのも楽しみの一つです。

自分で薪を割って庭にストックをしていくことを楽しんでいる方も多くいらっしゃいます。真夏は少ししんどいですが、春や秋にお庭で少しずつ丸太から作った薪で冬に暖を取れる心の充足感は格別だとおっしゃる方もいます。老後の終の棲家のお庭で薪づくりを趣味にすれば、健康的ありかつご家族にも喜ばれます。

木を購入する場合、丸太の状態の方が安価に仕入れることができます。中には災害や山林の手入れで処分される木々をタダで提供してもらいチェーンソーで丸太にするところから楽しまれる方もいます。自分のライフスタイルに合わせ無理なく薪を調達することをお勧めします。

煙突掃除

煙突掃除は地上からもできますが、上部から落とした方が確実に煙突内部にこびり付いたススを除去できます。煙突掃除のキットも販売されていますが、まずは購入した薪ストーブ設置住宅会社の専門スタッフに来てもらって煙突掃除を依頼することをお勧めします。毎年行うのがベストですが数年に一回という方が多いです。プロに依頼するところからスタートして、その方法を観察したり質問したりしながら、次回は自分でチャレンジ!という流れでも良いと思います。高所作業になりますので、楽しいはずの薪ストーブライフでくれぐれも怪我のないよう無理をしないことですね。

③灰の処分

先にもお話しましたが、薪ストーブライフを楽しむ方には家庭菜園を趣味にする方も多く、そのような方々は灰を畑の肥料として使っています。そうでない方は、知り合いの農家さんに使ってもらう当てがあれば相談しているようです。ただ、そのような知合いがいらっしゃらない場合には浜松市の粗材ゴミとして有料で処分することもできます。

自然の恩恵で快適さを享受するためには、心得ておくべきことがあるということですね。

 

お庭と心地よい家具で薪ストーブ空間の豊かさがより充実

薪ストーブライフを楽しむ上でその暮らしを豊かにしてくれるのは、お庭の薪棚や薪ストーブの前に座り心地のよいソファーがあることです。憧れの薪ストーブライフを送っている家の庭先に、薪棚に薪が積まれている光景を目にしたことがあるかと思います。棚の上部には雨除けの小さな庇を設け、風通しに配慮して位置を決めます。おしゃれなだけでなく実用的です。お隣様との境界に長い薪棚を設置すればフェンスや目隠しとしても機能します。

また、薪ストーブ前に置きたいソファーを選ぶのも人生の楽しみの一つとしていらっしゃる方がとても多くなっています。そのソファーは一人掛けのソファーで「イージーチェア」とも言われます。自分の好きな一脚を置き、そこに身を預け、炎を見ながらゆったりとした時間の流れを愉しむ醍醐味を味わった人から、毎年11月頃、少しずつ寒くなってきた季節に「薪ストーブに火をともす冬が来るのが待ち遠しい…」という声がよく聞かれることからも、その暮らしの悦びが伝わってきます。

 

大切なのはライフスタイルに合うかどうか

薪ストーブは人を三度温めると言います。
一回目は、薪をつくり運ぶこと
二回目は、その薪によって体が温まること
三回目は、自然との循環、家族の絆、友人との繋がりを感じ、心が温まること

薪ストーブの魅力やメリット、そして注意ポイントをお伝えしてきました。設置するかしないかを決断するには、一見面倒な準備、あなたの大切にしたい価値観・人生観、そして叶えたい家での時間など、あなたのライフスタイルにマッチするかをじっくり検討することが大切です。

自然と共存した暮らし、環境を考えた暮らし、心の豊かさを大切にした暮らし、身体にやさしい暮らし… 丁寧に生きる悦びを大切にしたい方には、薪ストーブを一生涯の友のような存在と感じるに違いありません。ぜひ、この記事をご参考にイメージを膨らませていただけると幸いです。

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