家づくりの叡智- 家づくりの検討・比較

物価高騰・住宅価格上昇の今だからこそ!?
家づくりの「住宅会社選び」と「お金」で絶対に注意すべきこと

物価高騰・住宅価格上昇の今だからこそ!?<br>家づくりの「住宅会社選び」と「お金」で絶対に注意すべきこと

マイホームを建てる人にとって、物価高騰で住宅価格が上がることへの不安は大きいと思います。そして現在のような価格上昇期には「住宅会社選び」と「支払うお金」について注意すべきとても大切なポイントがあります。従来からのやり方のように、いくつかの会社の施工例を見て建てたい家のプランと見積もりを出してもらい、それらを比較して良さそうな会社を一つ選ぶ、という一見、当たり前と思われるよくある進め方に大きな落とし穴が潜んでいます。

その落とし穴について知っている人は陥らないのですが、具体的な回避方法を知らず後から大きな失敗に気付いて取り返しのないことになった…という実際のご家族からの悲痛な声が私たちにご相談として寄せられる状況の中で、住宅価格が上昇している今、絶対に押さえておくべきアドバイスをお伝えしたいと思います。

 

物価上昇の背景

コロナ禍による物流停滞や商材減産、そこにウクライナ危機が重なり、さらに米国の金融引き締め策による金利上昇などに伴い、日本の物価がどんどん上昇しています。日々の買い物の中でも、ガソリン価格をはじめ多くの日用品の金額が上がっていることを既に多くの方が実感していることと思います。

建築資材におきましては、2021年3月にウッドショックが始まりその価格上昇は止まる気配がありません。木材のみならず全ての資材が価格上昇を続けています。日本政府もインフレ政策を推し進めてきたこともあり、この流れはまだまだ続くものと思われますし、元に戻ることは考えにくい状況です。

 

住宅価格上昇の今、住宅業界で何が起きている?

①倒産・自己破産の住宅会社・工務店が続出。またその候補予備軍も

企業に対しての雇用調整助成金が終わり、またコロナ時に無利子で借りた融資返済もスタートし、それに伴い、かろうじて補助金で生き延びていた経営状態の悪い会社の倒産・廃業が続いています

この浜松エリアでも、よく名前を聞く会社も含め、このわずか数年の間に10件もの倒産がありました。その会社で契約し契約金を支払った方や、すでに着工している最中で工事代金の8割も支払った方などが、工事が進まない中で途方に暮れて大きな問題となっています。また、完成し入居したばかりなのに今後の建物の保証が受けられない、無料でやってもらうべきアフター点検や不具合に対する工事なども別の会社を新たに探して有償で依頼しなければならないなど、大変な被害にあっている事実があります。

家づくりを始めると、その会社が作っている家は注意深く見るのに、財務が安定して良い経営をしている会社かどうかを気にする人としない人がいます。アフターが大切と言いながら、その会社が自ら存続するための体制をとっているか?を見極めることなく、家そのもののデザイン、おしゃれさ、金額、仕様などのカタログやネット情報を鵜呑みにして家を建てはじめたために、大変な被害にあってしまうリスクが高まっています。もちろん、経営が危ない会社は倒産するまで「自分は潰れるかも…」なんて言うはずはありませんので、その見極めがとても重要になります。

 

②パパママ工務店(小さな住宅会社)が、資材高騰に対しての雑務に追われ見積り出しが追い付かない

注文住宅の場合、打ち合せを進めるほどにお施主様は細部へのこだわりや実現したいコトが出てきます。間取りや仕様を決めていく段階で自分たちの大切にしたいことが見えてきて、住宅会社の設計者にアドバイスをもらいながら決めていくことは、自分たちのこだわりが詰まった家を実現する楽しい時間になるはずです。

そこで大切になるのが、

  1. 打ち合せを小まめにしてもらえること
  2. 意見や希望が次の打ち合せで間取りや仕様書にキチンと反映されていること
  3. 打合せの度に変更箇所の差額見積りをタイムリーに出してもらうこと

この3点を丁寧にやってくれる会社かどうかが、注文住宅で自由設計の家づくりをする上で安心して進めることができる重要なポイントです。どんどん進んでしまった後からこの3点ができない住宅会社であることに気付き、家づくりを中断せざるを得なくなった方々の切実な声を聞きます。

資材高騰への業者対応、既に始まっている現場での変更対応、工事中のお客様に対しての価格変更の伝達など… 小回りのきくパパママ工務店だから丁寧に綿密に対応してもらえると思っていたのに、社会情勢の変化スピードのついて行けず、目の前で起こっている事に追われるどころか後手に回ってしまい、計画段階のご家族が蔑ろにされてしまう状況が発生していることもあちこちから耳に入っています。

工務店の経営者は会社を安全性を保つよう経営の舵取りを行うのが最重要業務ですが、無理をして利益を確保するために経費を抑えて人を雇うことをせず、建築中の現場はもちろんアフターメンテナンスなどを自分でやってしまってるようでは手が回らなくなるのは当然です。

住宅は多くの人が関わり作り上げていくものなので、人件費を少しでも減らしたいと考える小さな住宅会社は、社会情勢の変化が激しい時にはその膨大な対応に追われてしまうため、自分を後回しにされたと施主様が感じることになれば楽しい家づくりなどできるはずがありません

  • 毎回の打ち合せが一か月先と言われ、図面や仕様の小さな変更だけでまた一か月がかかると思うと修正を伝えるのが辛くなる。
  • 計画内容の変更や修正について言ったことが次回の打ち合わせに反映されないため、ちゃんと作ってくれるのか心配。
  • 変更箇所の金額を出してくれないので現段階の金額がどうなっているのか不安でたまらない…。

こんなことが現実に起こっているのです。

 

③予算を伝えたのに最後に出てきた見積りが1000万円オーバー!?

住宅会社としては見積りを出すのにもそれなりの時間と手間がかかります。特に小規模な住宅会社や個人経営の工務店には積算の仕組みがなく、昔ながらの手拾いで見積りを出していることがほとんどです。

仕組みとある程度の分業で業務が動いている年間建築50棟以上の中堅住宅会社になれば、図面と見積もりが連動した自動積算システムなどを導入しスピードある見積り提示ができるのですが、小さな工務店の場合は自分で数量を計り単価を入力したり業者に見積りを依頼し、出てきたその見積りを自社の書式で作ってお客様に提示する雑務的な作業手間のかかるパターンでやっているところがまだほとんどなのです。

打ち合せの度に間取りや仕様書の修正を行うと膨大な時間がかかるため、打ち合わせ毎に金額を算出するのをやめて、内容をいったん確定してから最後に整理して見積りを提示しようとし、毎回の変更見積書をつくる手間を省くのです。これらは、あなたのためではなく、すべて、工務店、住宅会社の都合です。その結果、自分たちの要望に沿った図面や仕様をすべて確定した後に、契約時より1000万円~1500万円も高い見積りを突き付けられた!という話を聞くことが多くなりました。

ご家族様にとってはそれまで積み重ねた膨大な時間が全て無駄になり、すべてが白紙となり、再び住宅会社探しから始めなければならない振り出しにもどってしまいます。中には、信じていた会社が後出しで金額提示してきたことで家づくりそのものに疲れ計画自体を止めてしまう方もいるのです。

 

今、住宅会社を選ぶ上で絶対に大切なこととは

①選ぼうとする会社の決算書の財務内容証明書を出してもらうこと。必ず「貸借対照表(バランスシート)」のコピーをもらう

倒産予備軍の会社を絶対に選ばないため、あなたが良さそうな会社だなぁと感じ打ち合せをしたいと思う会社には、最初に「貸借対照表を出してもらう」ことを実行してください。まず「貸借対照表をキチンと提示することができる会社かどうか」が大切です。

打ち合せ中・工事中・完成してからも「選んだ会社が倒産した!」なんてことがあってはなりません。信じてくれたお客様を見捨ててその住宅会社が倒産すること自体は全くあなたの責任ではありませんが、そんな会社を選んでしまったことはすべてあなたの自己責任なのです。

しかし、経営という健康状態を明らかにする「貸借対照表」を自ら率先して提示する工務店や住宅会社は皆無です。都合の悪いものは見せません。だからこそ、家族を守るあなたの方から「貸借対照表のコピーをください」と言わなければなりません。まずはコピーをくれるかということでその会社の誠実さを見極めます

 

貸借対照表をどう見るかは財務のプロではないとなかなか判断し難いので、お勤めの会社の経理の方に見せて聞いてみるのも一つの方法ですし、住宅ローンを検討している金融機関の窓口で「この会社の財務は健全と思いますか?」と相談の際に重ねて質問すると教えてくれる場合もあります。もし知人友人に経営者がいるならば、その人に財務諸表を見てもらうのもよいかもしれませんね。

 

②万一、その会社が倒産した際のために住宅会社自らが入るべき「完成保証に入っているか?」と聞く。

打合せ中や工事中に住宅会社が倒産してしまった場合、信頼してくれたご家族様に多大なご迷惑をおかけすると考えている経営者は平時から具体的な対策として「完成保証」に加入しています。「完成保証」は、不測の事態で会社が倒産してしまっても、完成保証に加盟している別の会社が、打合せや工事やアフターメンテナンスを引継いでくれる仕組みです。

完成保証を運営している保証会社は、加入したい会社の経営状況を細かくチェックし、そして毎年の更新時にも経営指標を確認し、倒産のリスクがない会社に「完成保証」を付けます。一見、矛盾しているように感じますが、生命保険も健康状態をチェックし健康な人が加入できるという点で同じですよね。

もし、あなたが選んだ会社が自ら「完成保証」に入っていない、もしくは入ることができない場合、倒産した場合の被害はすべてあなたが背負うものとなります。だれも守ってくれません。だからこそ、住宅会社選びでは必ず「あなたの会社は完成保証に入っていますか?」という質問をあなたから言わなければならないのです。加入していない会社は自らそれを言うはずがありませんから。

 

③打合せの流れの確認と見積もりをどのタイミングでもらえるか?を聞いておく

現在のような社会情勢のだからこそ、住宅会社のペースで家づくりが進められたり、あなたの気持ちが置き去りにされるような一方的な打ち合せの進め方やスケジュールの押し付けがあってはなりません。住宅会社や工務店の事情に納得の上での同意しているのであればよいのですが…。

自分の暮らし方や価値観を大切にしながらの自由設計として、こだわりが反映された注文住宅を建てることができたなら、かかるお金も単なるコストではなく未来の家族の幸せへの投資となります。支払いも前向きな気持ちで捉えることができるものです。もちろん暮らし始めてからの満足度も格段に大きくなります。

だからこそ

  • 打ち合わせ回数を3回まで!と言われ、それ以上の打ち合わせは追加費用が必要と言われる
  • もっと綿密に打ち合せをしたいのに時間がとれない!と言われる
  • 忙しいので契約後の打ち合せの度に毎回の見積りを出せない!と言われる
  • 打ち合せや着工のスケジュールなどを相談もなく勝手に決められる

といったトラブルがないように、進め方や見積り提示の方法を最初に確認しておくことが大切です。そしてまた、打ち合せをしてくれる担当者を見て

  • スピードをもって対応してくれるか
  • 綿密な打合せをあなたの望むのペースで回数制限なくやってくれるか
  • こちらの希望や意見をキチンと議事録として残し「その写しをくれる」か
  • 工事前の打ち合せだけでなく完成後も家族と今までの良い関係を築いているか

打ち合せを行う際にさりげなくチェックしていくことで、その会社が頼りになり安心して家づくりを進めることができるかどうか判断できるのではないかと思います。

 

④契約時の見積りが、内容が変わらないのに物価上昇で後から金額が上がることがないか?

契約時の図面や仕様などの内容が変わらないのに、物価高騰により一方的に金額を上げられないように、契約前のずっと前のはじめての打ち合せの際には、契約書の金額の有効期限はどのように決められているのかを確認してください。

例えば、契約後の一年間は資材の高騰があっても同じ内容なら契約金額の変更が発生しないか?それとも仕入れ価格の変動の度に見直しが発生するのか?、契約後に新たに実現したい内容が追加となる場合の見積り単価はどのタイミングのものが適用されるのか?、なども事前に確認しておくことが大切になります。

そんなはずではなかった!と後悔しないように、物価上昇局面での見積りの出され方については双方でキチンと確認して、納得の上で契約に向け具体的に打ち合せをおこなっていくようにしましょう。

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