丁寧な暮らし- -DLoFre‘s-美しい暮らしの素

現場監督が教える上棟の過ごし方

WRITER

山田晃司 / 現場品質クリエイター

現場監督が教える上棟の過ごし方

はじめに

上棟(じょうとう)とは家の骨組みの中で棟木(頭頂部にくる横架材)を組むことを言います。建前(たてまえ)棟上げ(むねあげ)とも呼ばれます。上棟を祝ってお餅投げをする地域もあります。

 

事前準備

職人さんの人数

2週間前ぐらいには決まります。担当の棟梁・お手伝い・レッカーオペレーター 職人さんの数は6人~10人程度が多いです。(建物の規模や屋根の形状によってことなります)

雨天中止のタイミング

天気予報をもとに基本は前日10時までに雨天中止を判断しています。お弁当のキャンセルが間に合うタイミングを確認しておくことが大切です。

服装

動きやすい服装・靴がおすすめです。現場内は足元が不安定なので草履やヒールでは危険です。

 

あいさつ

作業前に職人さんに挨拶をしてもらっています。注文住宅だとお施主様の家づくりへの熱い思いがあって当然です。棟梁やお手伝いの方にその思いを伝えることで職人さんのやる気を上げてあげましょう。

定点カメラ スマホ

朝に定点カメラやスマートホンを固定して録画する方が増えています。レッカーの動きや材料搬入の位置によって途中から見えなくなってしまう場合があります。現場監督に相談して取り付けましょう。

 

午前中の作業見どころ

いの一番(番付け)

材料には番付けと呼ばれるものが付いています。主に「いろはにほ…」「12345…」と縦軸と横軸にわかれています。一番乗りのことを「いの一番」ということわざがありますがこれは番付けのことですね。現在は建物が複雑でいの一番に材料がないこともあります。

建物の垂直・仮筋交い

1Fの柱と梁が組めたら建物の垂直を見るために「さげふり」という道具を使います。ここで建物の傾きが決まってしまう場合があります。垂直を決めたら仮筋交いで固定して2Fの作業に入ります。仮筋交いは後々はずすので間取りに関係なく施工します。よく「ここ窓ですけど…」と心配させてしまいます。

大工さんの躍動感

上棟当日は大工さんがとってもかっこよく見えます。力強く・軽快でチームワークよく家を組み上げていきます。しかしその姿も棟梁がいてこそ。上棟日棟梁はほとんど段取りに徹します。安全や材料の手配、次工程の準備・要所のチェック、お手伝いの大工さんが躍動するのも棟梁の段取りによるところが大きいのです。

それと躍動感を生み出しているもう一人の裏方。それはレッカーのオペレーターさんです。レッカーの動きに合わせて大工さんの作業が進みます。欲しいタイミングで材料がスッと下りてくる。プロの仕事だといつも感心させられます。

 

休憩(10時・12時・15時)

職人さんとの過ごし方

休憩は10時・15時は30分、12時は1時間の休憩となります。夏場は熱中症対策として9時、14時に小休憩15分とることもあります。
棟梁や職人さんは無口な方が多いと思われていますがしゃべりだすと止まらないタイプが多い気がします。

休憩中だから現場内案内

作業が止まっている休憩中だからこそ建物内を案内しています。図面で思い描いたものが空間として体感できるはずです。
案内をしているときに「家を建てることを実感した」と言われる方も少なくありません。窓の位置や天井の高さや2Fからの風景上棟でしか感じることができない空気や雰囲気をいっぱい感じてください。

休憩のお菓子と飲み物

季節によって少し違いはあります。お菓子は小分けになったスナックやお煎餅(余っても困らない・お土産に渡す)などがおすすめです。
夏場はチョコレートがすぐ溶けてしまうので要注意です。ゼリーを凍らせたものが人気です。
また、夏場にコーヒーはあまり飲まずスポーツドリンクや炭酸が人気です。逆に冬場はコーヒーを良く飲まれています。棟梁や季節によって好みが違うので監督に教えてもらいましょう。

梵天・記念の署名

15時の休憩後、梵天(ぼんでん)に署名をしていただきます。お名前と年号と月日は予め吉日となっています。上棟式にて神様の依代(よりしろ)として祀ります。上棟の後は小屋裏に入れてしまいます。この時5円玉を12枚用意してください。

記念の署名は以前 実際に施工する棟木に署名していましたが断熱材の関係ですぐに見えなくなることから別の木に書いて小屋裏に入れます。ここには署名だけでなく絵や手形を残してみなさんだけの特別なものにしてください。

 

午後の作業見どころ

棟木

はじめにも紹介しましたが、棟木とは頭頂部にくる横架材です。
14時~16時で棟木が納まります。気づいたら棟上げしていたとなりやすいので見逃さないように前もって監督に声をかけてほしいとお願いするのも良いと思います

屋根骨組み

午後からは屋根の施工が多くなります。午前のように派手な動きがなく地味ですが、材料の数が多く時間がかかります。屋根下地である野地板・防水用のシートまでが上棟日の作業目標です。

 

夕方

上棟式

上棟式ではお施主様ご家族・親族・お友達など参加していただく方を特に決めてはいません。お施主様が一緒にお祝いしてほしいと思う方に参加いただければ良いと思います。住宅会社として設計担当・現場監督・棟梁が参加します。この時までに「梵天」「記念の署名」を完成させてください。上棟式後の記念撮影にて使用します。

直会(なおらい)

上棟式が終わった後、お手伝いの大工さんを含めて直会を行います。一日を振り返り感想や感謝の挨拶をお願いしています。

記念撮影

その場にいる方たちで記念撮影を行います。ご親戚やご友人にも入っていただき手伝いの大工さんも含めて上棟日の最後の記念撮影を行います。

お見送り

写真撮影が終わったら棟梁や大工さんにお礼をお渡しいただき解散となります。

 

まとめ

上棟は家づくりの中でもとても大切な祭事です。高所作業が多く事故やケガの危険性も上がります。お施主様の想いがパートナーさんの緊張感にもつながっています。

現場監督としてたくさんの家づくりをサポートしてきましたがお施主様にとっては一生に一度の上棟日を楽しく思い出にのこる節目のお手伝いとなればと思っています。

WRITER

山田晃司 / 現場品質クリエイター

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