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CUT OUT A MOMENT 〜 瞬間を切り撮る〜

WRITER

細田毅 / Webデザイナー

CUT OUT A MOMENT 〜 瞬間を切り撮る〜

肩の力を抜いて

とある週末の大型カメラ量販店、カレンダーや雑誌で活躍するカメラマンの写真セミナーに参加した時、ある質問をしました。「狙って良い写真が撮れることよりも、偶然撮れてしまう良い写真の方が多くてモヤモヤするのですが

返ってきたのは意外な言葉でした。「良いことじゃないですか!プロセスはどうあれ自分が納得できる写真が撮れればいいのです。その一瞬を切り撮ったのは貴方自身なのですから」「絵を描くには技術が必要ですがシャッターを押すだけで写真は撮れます。カメラを持った全員に人を感動させるチャンスがあるんですよ」

初めてのカメラはフィルムの時代。現像やプリントはかなりの出費で学生の趣味としては継続が難しく尻すぼみになり 後に一般向け初のデジタルカメラといわれるCASIO QV-10を購入したのがきっかけで再び撮るようになったものの 身の丈に合わないデジタル一眼レフを買って鼻息荒く撮る気だけは満々で、でも空回りばかりで という頃の昔話です。

神のお告げのように聞こえたその回答の後は「楽しいと感じること、シャッターを切りたいと感じること」が写真と向き合うモットーになっています。今はムービー全盛時代ですが、時間の流れの中の「一瞬だけ」を切り取る醍醐味が写真の魅力だと思っています。だから長続きしているのだと思います。

今ハマっているのは

ここ数年よく撮る被写体はヒコーキです。猛暑の夏でも極寒の冬でも、休日に時間があれば空港周辺に出没しています。

ヒコーキは風向きで飛ぶ方向が変わります。また離陸の場合、機体の大きさや積載燃料や旅客数によって飛び上がる位置が大きく異なります。なのでスマホには飛行機撮影用のさまざまなアプリをインストールしています。天気予報、雨雲レーダー、空港ごとのリアルタイム時刻表、世界中の民間機の動きが分かるアプリ、空港ごとの離着陸方向が分かるアプリ、日の出や日没や月の位置が分かるアプリ、などなど。

それだけの情報を駆使しても相手は気まぐれなお天気とヒコーキですから空振りの日もあり、そんな時にふと思います。寒さに凍え重たいカメラを抱えて自分は何をやっているんだろう?と。でも数少ないチャンスだからこそモノにした時の悦びが忘れられず、それがモチベーションになっています。

真冬の静岡空港で雪を被った富士山と。

雲に邪魔されて夕陽は逃したけれど美しい光芒を撮ることができました。

大きな積乱雲を背景に浜松基地で夜間飛行訓練中のAWACS。

ドロフィーズキャンパスを美しく撮ろう!

浜松市の北部、都田町に所在するドロフィーズキャンパスは、約10,000坪の敷地の中にショップやカフェなどが点在しているだけでなく、ガーデンヒルや花畑などで季節ごとの美しい自然を感じることができます。インスタ映えスポットとしても話題になることが多いキャンパス、ご来場された時にこんな風に撮ってみるのはいかがでしょう?

夕立の後に現れた虹。タイミングが良ければこんな美しい一瞬に出会うこともできます。

グリーンの絨毯のように鮮やかな芝の緑が眩しいドロフィーズ・ガーデンヒル。色にも種類あることが分かるグリーンのグラデーション。

 

何気ない道路沿いの風景もぼかして撮るとオシャレの北欧の街並みのよう。

小高いGENTENのウッドデッキからは都田の街並みと自然に満ち溢れた浜松の山並みが望めます。

春から夏にかけてドロフィーズカフェ周辺は色とりどりの花が咲き乱れるスポットに変身します。

ドロフィーズインテリアの壁画をヴィンテージギャラリーから撮ればインスタカブりを避けられるかも?

ドロフィーズキャンパス周辺にもフォトジェニックなスポットはたくさんあります。

もっとオシャレにカッコよく

スマホで手軽にきれいな写真が撮れるようになったせいか、写真の撮り方について質問されることが増えました。楽しく撮れることがいちばんですが、ここに書いた4つのポイントを意識すればさらにグレードアップした写真が撮れるのではないでしょうか。

垂直水平

例えばこの写真。柱が斜めに写っていたらイマイチと感じるのではないでしょうか。

それが、柱が垂直にテーブルが水平に撮れているだけで上手な写真に見えてくるから不思議です。水準器が表示できるカメラをお持ちなら積極的に利用しましょう。

順光と逆光

せっかくの旅行写真なのに逆光で真っ黒になってしまった、なんて経験もあるかと思います。「写真」は「Photograph(フォトグラフ)」と翻訳されますが、元はギリシャ語で「Photo」は「光」を、「graph」は「絵」を意味します。つまり「光を表現するアート」が写真です。

なので光に対する感覚を研ぎ澄ますことはとても大事。太陽を背にして順光で撮るよう意識したり、カメラのHDR(ハイダイナミックレンジ)機能を利用すれば、思い出の写真が黒つぶれでガッカリなんてことは無くなります。

一方で、あえて逆光を利用してシルエットが印象的な写真を撮るという方法もあります。

ボケ

背景がふんわりした写真を撮るのは写真の醍醐味のひとつです。そう「ボケ」です。英語でも「ボケ」は「Bokeh(ボケ)」と呼ばれる世界の共通語になっています。今はスマホにもボケ機能が搭載されていますが、どちらかといえばスマホよりもカメラのほうが得意なテクニックです。

通常はカメラの設定で制御するボケ。一眼レフなどのカメラをお持ちの場合には撮影モードを「Av(絞り優先)」にして「F値」を小さく設定すればするほどボケてきます。でもカメラの絞り値設定がよく分からない場合でもボケ写真を撮る方法はあります。

①カメラが被写体にグッと近づく
②被写体と背景の距離を大きくする
③できるだけズーム(拡大表示)で撮る

この3点を意識すれば今までよりも背景がボケた写真が撮れるようになりますよ。

構図

写真専門誌を開いたものの小難しい構図の理論が出てきてそっと閉じる なんて事があるかもしれません。確かにとても奥の深い「写真の構図、難しい問題」ですが、そんな事を考えていたら全然楽しくありません。

とはいえ画面のど真ん中に被写体がドーンとという通称「日の丸構図」ばかりというのもちょっとカッコ悪いですよね。構図とは「画面全体の安定感を整えること」と考えれば気楽になりませんか?。

構図を意識した時にもっとも役立つ手法が「三分割法」です。決して難しくありません。画面をタテ・ヨコに三分割した線を引き、その交点に被写体のポイントを置く方法です。カメラやスマホにも「グリッド」という名称で表示できるモデルも多くあります。

いかがでしょう? これらのポイント1つでも意識するだけで昨日までとは違う写真が撮れるはず。インスタの「いいね!」が増えるかもしれません。

気が向いたら

写真のことをもっと知りたくなったら書籍や雑誌を参考にするのも良いと思います。ただカメラや機材の比重が高いカメラ雑誌より、写真集や「写真の」雑誌を見て自分の好みの写真を知り、撮りたい写真のイメージを膨らませる方が楽しい写真ライフになると思います。

今年購入してよく見ているのが、自動車レースF-1を通算500戦も取材しているカメラマン・熱田護さんの「500GP フォーミュラ1の記憶」。まず魅了されるのがまるで動いているようなスピード感が紙面から感じられるほどの凄まじい撮影技術ですが、ただ単に速さを追いかけただけではない、F1パイロットの悦びや苦悩がまるで物語のように迫ってくる素晴らしい写真集です。

そして航空写真家として絶大な人気を誇るルーク・オザワさんの「JETLINER」シリーズも好きな写真集です。ルークさんの人気の秘密は、アマチュア写真家と同じ場所から撮っているにも関わらずアマチュアには撮れない素晴らしい写真を発表すること。「JETLINER」シリーズは、全写真の使用機材をはじめシャッタースピードや絞りなどの撮影データが記録されており、写真集でありながらヒコーキ撮影の教科書にもなっています。

雑誌では「GENIC」誌。若い女性向けにカジュアルにオシャレな写真を撮ろうという、自分の好みとは間逆な雑誌ですが、今の流行や新しい写真の撮り方・見せ方がとても新鮮で参考になります。

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細田毅 / Webデザイナー

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