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インテリアアーティストが愛用する「北欧ヴィンテージ陶器コレクション」

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木野ゆり奈 / インテリア・アーティスト

インテリアアーティストが愛用する「北欧ヴィンテージ陶器コレクション」

はじめに

日常の暮らしをより豊かに丁寧にしてくれる北欧ヴィンテージ陶器。
現在では生産されていない1940年代~1980年代にかけてつくられた北欧ヴィンテージ陶器たち。
北欧の人々の暮らしの中では、モノを捨てる前提で使うのではなく、自分が使わなくなったとしてもいつか誰かが使うものとして大切に扱う意識や文化が根付いています。

そんな北欧ヴィンテージ陶器の魅力に魅せられ、私自身も大の愛好家。
今回は私が所有し自宅で愛用している北欧ヴィンテージ陶器をご紹介します。

私が愛用する北欧ヴィンテージ陶器コレクション

フィンランド「ARABIA社「アネモネ&ロスマリン」ティーカップ&ソーサー」

 

北欧ヴィンテージ陶器といえば、フィンランドの「ARABIA(アラビア)社」。その中でも人気の高い1960年代に作られた、カップの側面にアネモネのお花が大胆に描かれたアネモネシリーズ。
ソーサーが青いタイプは大変珍しいシリーズです。手描きされた深い藍色はどこか和を感じさせ、色の濃淡や太さも異なり、表情も異なります。茶色のお花が描かれた「ロスマリン」シリーズはローズマリーという意味を持ちます。アネモネと同様、カップの側面に大きく大胆に花が描かれています。カップの底面には手書きで描かれたロゴサインが。一つ一つ表情が違います。
アネモネ、ロスマリンともに、私も大好きなデザイナー「ウラ・プロコッペ」によるデザインです。

デンマークの巨匠「Jens.H.Quistgaard (イェンス.H.クイストゴー)Azur(アズール)シリーズ」

デンマークらしい、落ち着いた気品のあるヴィンテージ陶器。日本でも根強いファンが多い、Jens.H.Quistgaard (イェンス.H.クイストゴー)。「レリーフ」「コーディアル」「アズール」シリーズとありますが、その中でも私はアズールシリーズが一番のお気に入り。1950年代から永く愛され続けているロングセラーのデザインです。Azur(アズール)は「美しい石」の意味を持ち、プラムの花が刻み込まれています。釉薬の色合いによって濃淡を得て、和にも洋にも馴染みやすく、落ち着きがありながらも華やかさを演出してくれます。コーヒーや紅茶を丁寧に淹れてティータイムを愉しんだり、クリーマーを花瓶にアレンジし、ドライフラワーを添えてインテリアの彩りに。私お気に入りのアイテムです!

×北欧の折衷ロイヤルコペンハーゲン/Aluminia Baca(バッカ)ボウル」

デンマーク、Royal Copenhagen(ロイヤルコペンハーゲン)Baca(バッカ)シリーズのボウル。
エッルン・メルマーのデザインで19651980年代初期に、ロイヤルコペンハーゲン社を買収していたAluminia(アルミニア社)の工場で制作され、ファイナンス焼きによる重厚感や素材の温かみ、独特の深みを感じられる大変貴重な陶器の一つ。どこか日本の茶碗を感じさせる風合いですよね!抹茶を点てるのが私の趣味の一つなのですが、お抹茶をいただく抹茶茶碗を探しているときに運命的に出会った陶器なのです。ボウルとして使われてきた陶器ですが、私は抹茶茶碗として愛用しています。日本の文化と北欧の文化の融合。和とモダンさを兼ね備えた素晴らしい陶器です。

幻の陶器ARABIAKrokus (クロッカス)/モノトーン&カラー コーヒーカップ&ソーサー」

ARABIAヴィンテージ陶器コレクターの中でもファンの多いクロッカスシリーズ。1978年~1979年の2年間しか製造されなかった大変希少価値の高い、手に入りにくいシリーズです。
デコレートデザイナーのエステリ・トムラは私も大好きなデザイナーの一人。クロッカスシリーズは彼女の代表作です。カラータイプの他、モノトーンタイプは、シンプルでシックな色合いとデザインがモダンな雰囲気を演出してくれます。心を落ち着かせたいとき、私もよく使います。

カラータイプのクロッカスは、春の息吹を感じさせる素敵な色合いです。
「クロッカス」は、北欧に春を告げる花と呼ばれ、フィンランドの人々に明るさと温かさを届けてくれます。眺めているだけでも心がワクワクする、気品と優しさが溢れるシリーズです。
お部屋の中に彩りを与えてくれる、私お勧めの激レアヴィンテージ陶器です!

ARABIAKosmos (コスモス)/ブルー コーヒーカップ&ソーサー/プレート」

フィンランド、ARABIAヴィンテージ陶器の定番シリーズとして人気の高い、Kosmos(コスモス)シリーズ。茶系カラーが一般的ですが、その中でも限定生産で製造された「ブルーカラー」のコスモスシリーズ。フィンランド国内でもなかなか手に入らない大変希少なカラーです。
コスモスの花びらをモチーフにデザインされ、一本一本丁寧に手描きされた線はハンドペイントの温かみを与えてくれています。コーヒーカップもいいけれど、たっぷりと入るティーカップ&ソーサーがお気に入り。濃淡のあるブルーがどこかモダンで素敵。ブルーカラーは格別です!

ARABIA「フィンランドの美しい自然がら生まれたフローラシリーズ」

野に咲く花の力強さと春を迎えた喜びを表現した、ARABIAFlora(フローラ)」シリーズ。
「植物相」という意味を持つフローラは、スミレ・タンポポ・スズラン・サクラソウの草花が丁寧に描かれたエストリ・トムラの代表作です。美しさと素朴さを兼ね備えたフローラのデザインは、長い冬の季節を乗り越え、春の訪れを待ちわびるフィンランドの人々の心を優しく温かく包み込んでくれたのではないでしょうか。バックスタンプの周りにも丁寧に花が描かれています。
フィンランドの大自然の中に身を置いて、深呼吸をする。美しい日差しに照らされた草花がキラキラと輝く自然の息吹をこの陶器から感じます。1979年~1981年しか製造されなかった大変希少価値の高い、熱烈なファンが多いシリーズです。

陶器だけじゃない!気品ある輝きを放つ、北欧ヴィンテージガラスウェアシリーズ」

 

北欧フィンランドを代表するガラスウェアブランド「Nuutajarvi(ヌータヤルヴィ)」「iittala(イッタラ)」のガラスウェアシリーズ。陶器のみならず、ガラスウェアのヴィンテージシリーズも根強いファンの方々が多いです。フィンランドのガラスデザイナー「オイバ・トイッカ」や「カイ・フランク」「ティモ・サルパネヴァ」の作品が数多く、今もなお大切に受け継がれています。
どれも宝石のように美しい輝きを放つガラスウェア。陶器とはまた違った味わいと風合いが愉しめます。夏の時期には暮らしに涼を取り入れるインテリアアイテム、キッチンアイテムとして人気を誇ります。

 

「北欧ヴィンテージ陶器/アレンジした陶器の使い方!」

コーヒーカップ&ソーサーコーヒーや紅茶を飲むという用途に使う方も多いと思いますが、私はコーヒーカップをデザート用の容器として、またはフルーツを入れて愉しんでいます。
こちらはチャイプリンを作った時の写真。普段使いできるシンプルなARABIAカレリアシリーズやタイカシリーズの他、今回はスウェーデン/グスタフスベリ社のスピサリブのティーカップ&ソーサーを使いました。その他にもクリーマーやミルクピッチャーをフラワーベースの花瓶としてアレンジして使うことが多いです。何気ない朝食の時間やティータイムも心が弾みます!
実際に使用するとともに、インテリアのオブジェとしてスタイリングにも使います。お気に入りのテーブルライトと組み合わせ、花と組み合わせてディスプレイ。心がとても落ち着くのです。

おわりに

背景やストーリーのあるものを選択し、永く使い続ける。
まずは「好き」と感じるものを1つ手に入れ、日常の暮らしの中で長く大切に使うことが、心とライフスタイルを豊かにする秘訣です。
大量生産でなかった当時は窯で丁寧に焼かれ、職人さんが一つ一つ手作業で絵付けをしていました。同じデザインのものでも、色の濃淡があったり、線の太さや細さが違ったり、それぞれの表情や手に持ったときの感触も微妙に違います。時を経て次の手と渡り、また誰かの特別な宝物となる。大切に丁寧に扱うことで何気ない日常が特別に、愛おしくなる。
ヴィンテージだからといって使うのを躊躇して飾っておくだけにならぬよう、命が宿る陶器だからこそ日常使いで是非愉しんでもらいたいです。

私たち一人一人が自然と共存し、使い捨てではなく一つのモノを永く大切に使い、次世代へ受け継いでいくこの価値観が世の中を少しでも変える一歩になるのではないでしょうか。
一つの陶器からモノを選ぶ視点や基準、暮らしの姿勢が変わっていく。
ライフスタイルの質を高め、大切にしたい本質の価値観で、モノと人、時間、幸せな出会いがきっとあなたの心に輝きを放ってくれることを願っています。

私も北欧ヴィンテージ陶器が本当に大好きですドロフィーズキャンパスにも北欧で買付をしてきたヴィンテージ陶器を販売している「北欧ヴィンテージ陶器ギャラリー」の店舗が存在します。
愛好家の私がお勧めの陶器を喜んでお伝えいたしますので、是非お気に入りの一脚を見つけてくださいね!


インテリアアーティスト
木野ゆり奈

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木野ゆり奈 / インテリア・アーティスト

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