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私が建築デザインと人生に影響を受けた現代アート

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大矢英俊 / 建築デザイナー&一級建築士

私が建築デザインと人生に影響を受けた現代アート

芸大時代の現代アートと建築との出会い

私は芸大時代、デッサンが得意でアンディウォーホールやジャクソンポロックのような現代アートの代表とされるアーティストに影響を受け、具象画からの脱却として抽象画をシルクスクリーンや油彩画などの制作をしていた。
現代アートは授業の課題として自分の感性を表現する手法を模索する中で上記作家に興味を持ったことがはじまりである。建築は興味を持っていたが、当時は図面や模型という型にはまったことが楽しく思えず、もっと自由に表現することを追及したいと考えていた。

大学2年時に京都へ行き安藤忠雄氏のコンクリート建築に出会い、衝撃を受けた。なんと簡素な素材にもかかわらずダイナミックな空間の中に光や風、水の自然を感じた。それは簡素な素材だからこそ建物が空間の背景となりそこに流れる空気に感性が集中して感動したことを思い出した。
それ以来、安藤忠雄氏の建築にはまり、その流れでル・コルビュジェなどの現代建築家に興味を持つようになった。大学の後期専攻はスペースデザインに進み、立体作品を制作する中で図面を描くことが楽しく感じるようになった。デッサンの黒炭や鉛筆が製図のシャープペンシルに変わり、どんどん建築に興味が湧き、さらには都市計画のようなランドスケープにまで興味の幅が広がっていった。

ル・コルビュジェも自身の感性を表現する手法として抽象絵画を作品として残している。その抽象絵画から人体をモチーフにすることでモデュロールという黄金比との関係性を独自の手法で表現し建築の寸法体系にも展開していることも大変興味深い。
大学時代に初めて神田の古書店で買った洋書がル・コルビュジェの作品集であり、今も大切にしている。

「デッサンで影響を受けた作家」

ラネージ(Giovanni Battista Piranesi, 1720年10月4日 – 1778年11月9日)は、18世紀イタリアの画家、建築家である。ローマの景観を描いた版画でも知られる。
【出典:ウィキペディア(Wikipedia)】

 

「初めて買った洋書」

ル・コルビュジェ(Le Corbusier、1887年10月6日 – 1965年8月27日)はスイスで生まれ、フランスで主に活躍した建築家。本名はシャルル=エドゥアール・ジャヌレ=グリ(Charles-Édouard Jeanneret-Gris)。 モダニズム建築の巨匠といわれ、特にフランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」として位置づけられる(ヴァルター・グロピウスを加えて四大巨匠とみなすこともある)。
【出典:ウィキペディア(Wikipedia)】

 

現在アート作家「ドナルド・ジャッド」との出会い

就職は東京のデザイン設計会社に入社した。同じような嗜好を持つ仲間が集まっており、先輩に連れて行ってもらった池袋の西武百貨店の地下にあった美術書専門店(アール・ヴィヴァン/1995年閉店)で「ドナルド・ジャッド」という作家の作品集に出会った。

作品集での出会いという意味では冷静ではあるものの、大学時代に安藤忠雄氏の建築と出会った時に受けた衝撃に近い感動だった。簡素な素材をモチーフにしながらも要素を削ぎ落とすことで緊張感とともに神秘性を作品に感じた。
大学時代、自由な表現を求めて建築を避けてきたのが、水平・垂直の直線を基本とする安藤氏のコンクリート建築に通じる、とても建築的な作品に心を打たれた。
当時はインターネットというものがなく、興味の追及は自分の足で調べる時代、それ以降は、時間があれば洋書専門店に足を運び、現代アートをはじめ自分の知らない芸術や建築の世界に発見の喜びを感じて本屋さんに入り浸っていた。今でも時折、東京、神田、水道橋界隈の古書店には人生の気分転換に訪れる。お店の外にもたくさん古書が並び、陽が短くなった季節の夕刻以降の明かりが店先に漏れ出す時間が特にいい。当時集めた写真集の表紙の裏に手書きで書かれた金額を見ると自由な生活をしていた独身時代のいい思い出がよみがえる。

ドナルド・ジャッド(Donald Clarence Judd 1928年6月3日 – 1994年2月12日)は、20世紀のアメリカ合衆国の画家、彫刻家、美術家、美術評論家。
当初は画家・版画家であり美術評論でも高い評価を受けたが、次第に立体作品の制作に移った。箱型など純粋な形態の立体作品は多くの美術家や建築家、デザイナーらに影響を与えている。抽象表現主義の情念の混沌とした世界の表現に反対し、その対極をめざすミニマル・アートを代表するアーティストの1人。
【出典:ウィキペディア(Wikipedia)】

 

影響を受けた現代アート作家

その後、家具の仕事を担当するなかで建築的思考を持ちながら家具デザインの発想の源になるのは「ドナルド・ジャッド」をはじめ、「ルーチョ ・フォンタナ」「ダニエル・ビュレン」「バーネット・ニューマン」「ピート・モンドリアン」などの要素が少ない中で強い個性を表現した現代アート作家に特に惹かれ、造形を発想する上でとても影響を受けた。簡素で簡潔、原始的な造形を追及することで本質的な役割と美しさの創造につながると考えるようになった。

そして建築や家具は空間の背景として存在感を消すことで、そこで生活する人や、そこに訪れる人それぞれが主役となり、そこでの行為が時を経て繰り返されることで記憶として存在価値をつくりあげていくもので、一時的に主張するものではないと考えるきっかけとなった。

ルーチョ・フォンタナ(ルーチョ・フォンターナ,Lucio Fontana, 1899年2月19日 – 1968年9月7日)は、 20世紀のイタリアの美術家、彫刻家、画家。空間主義(spazialismo)の運動の創始者。
【出典:ウィキペディア(Wikipedia)】

ダニエル・ビュラン(ビュレンヌ) (Daniel Buren, 1938年3月25日 – )は、フランスのコンセプチュアルアーティスト。ストライプ柄を使用したインスタレーション作品で知られる。
【出典:ウィキペディア(Wikipedia)】

バーネット・ニューマン(Barnett Newman、1905年1月29日 – 1970年7月4日)は、アメリカの美術家。抽象表現主義とカラーフィールド・ペインティングの代表的存在。
【出典:ウィキペディア(Wikipedia)】

ピート・モンドリアン(ピエト・モンドリアン、Piet Mondrian、本名ピーテル・コルネーリス・モンドリアーン、Pieter Cornelis Mondriaan 、1872年3月7日 – 1944年2月1日)は、19世紀末から20世紀のオランダ出身の画家。ワシリー・カンディンスキー、カジミール・マレーヴィチらと並び、本格的な抽象絵画を描いた最初期の画家とされる。
【出典:ウィキペディア(Wikipedia)】

 

一方、ミニマルアートとは方向性が少し変わるが、社会に出たばかりの同時期に出会ったアニメーション作家の「フレデリック・パック」には、社会的意義を作品に込めながらも優しいタッチで色彩豊かな表現の奥深さから、とても説得力のある完成度の高さを痛感し、デザイナーの役割を深く考えさせられた。

フレデリック・バック(Frédéric Back, 1924年4月8日 – 2013年12月24日)は、カナダのモントリオールのアニメーション作家である。アカデミー短編アニメ賞を2度受賞した。
【出典:ウィキペディア(Wikipedia)】

 

お客様と自分の体験を融合させるオンリーワンの家づくり

私がデザインで大切にしていることは、様々な人生を歩んでこられたお客様の体験を未来へつなげていくために私のこれまでの体験と融合させてお互いが「こんな考え方もあったんだ」と感性の幅を広げて、新しい発見とともにオンリーワンの家づくりをすることでお客様の人生をより深く豊かなものにして頂くこと、そしてお客様とドロフィーズと共に未来を作っていくことが人生の生きがいだと感じている。

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大矢英俊 / 建築デザイナー&一級建築士

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