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一級建築士が大切にする「カメラコレクション」その愉しむポイント

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高木今朝治 / リノベーション・デザイナー&1級Life space stylist

一級建築士が大切にする「カメラコレクション」その愉しむポイント

はじめに

カメラは「今目で見ているこの瞬間を永遠に残しておきたい」、そんな昔の人の想いが形となって生まれました。今では、誰もが持てるカメラ、その昔は高級品として持っていることが一つのステイタスであったと思います。SNSできれいな写真を発信できる様、女性にも優しいコンパクトなミラーレス一眼カメラもたくさんあり、首に掛けている姿もおしゃれに見えます。クラシックカメラからミラーレス一眼カメラまで、その時代を感じさせるカメラに興味を持ち「カメラコレクション」を始めました。

 

カメラを集めた理由

写真が好きで、小学生の頃にはピンホールカメラというおもちゃの様なカメラで景色を取っていたのを覚えています。中学では写真クラブに入り、白黒写真を自分で現像していました。暗室の赤い光の中で画像が浮かび上がってくるのに興奮をした記憶があります。
その頃、1970年代一眼レフカメラブームでテレビのCMでは多くのメーカーが印象に残る一眼レフカメラを紹介していました。オリンパスOM-1、ミノルタX-7、キャノンAE-1など憧れの一眼レフのCMは今でも覚えています。しかし、中学生の自分にはそんな憧れの一眼レフカメラを買うことはできず、親にねだってレンジファインダーカメラ、今でいうコンパクトカメラを買ってもらい大人になるまで使っていました。
そして、初めて入った質屋で当時ほしかった憧れの一眼レフカメラオリンパスOM-1を手に入れたのがカメラコレクションを始めたきっかけとなります。

 

カメラの種類

銀塩カメラ

今では少なくなったフィルムを使い写真をとるカメラです。
一般的には35mm判サイズのフィルムが使われていました。円柱のカートリッジに入っていて、当初は10枚撮り、20枚撮り、30枚撮りだったのが、フィルム前後の余白も使える様にして12枚撮り、24枚撮り、36枚撮りとなって販売しだしたのも丁度その頃だったと思います。通常の一枚サイズで二枚撮るハーフ判カメラというのもあり、ファインダーをのぞくと通常横型なのに縦型に見えるのが特徴で、36枚撮りなら72枚撮れるお得なカメラでした。

又、ブローニー判と呼ばれる中判フィルムや写真館で使われる大判フィルムと呼ばれるものもありました。ブローニー判は幅6㎝メートルのフィルムで、6×4.5、6×6、6×7、6×9などカメラによっていろいろな大きさで現像できる様になっています。大判フィルムは4インチ×5インチサイズで通称「シノゴ」と呼ばれています。
フィルムは自分で現像するには暗室など部屋がないと出来ないので、カメラ店にフィルムを持ち込み、お店に現像を依頼し写真にしてもらっていました。現像も数日掛かっていたものが、現像の機械が格段に進歩し朝出せば夕方出来るという様に変わり、最短では出して2時間後には受け取れるというお店もでてくる様になりました。
お店に写真を受け取りにいくまでどう写っているかは分からず、ドキドキしながら袋を開けたのを覚えています。撮り方に失敗して写真全てが真っ黒だったこともありました。

デジタルカメラ

写真の記録にフィルムでなくイメージセンサーを使い画像をデジタルデータとしてカメラ内部やSDカードなどのメディアに保存するカメラです。カメラのディスプレイですぐに撮った写真を見られるのが便利です。

出始めのデジタルカメラは画素数が低く、画像にしても見た目が荒くて銀塩フィルムの画像のきめ細かさには遠くおよびませんでした。しかし技術も進み、出だしのころは30万画素程度だったものが今では4000万以上など数千万画素が当たり前になって、銀塩フィルムと同等のきめ細かい描写ができる様になりました。その分、データとしては重くなるのでパソコンの処理能力も高くなる必要があります。

デジタルカメラになり一眼レフカメラもミラーレス一眼カメラと変わってきました。似ている様で実は構造的に決定的な違いがあります。
一眼レフのレフはレフレックスの略であり、鏡という意味があります。ファインダーでのぞいた像は目の前の景色の光がレンズを通り、鏡で反射をしてきたスクリーンに写る本物の景色を見ています。シャッターを切ると鏡が跳ね上がりシャッター幕が開いてイメージセンサーに見ているそのままの景色が写り、写真となるわけです。カメラを動かせば見えている景色は直接見ている光なので、タイムラグもなく、動いた像はひずみもなく目に映ります。

ミラーレス一眼カメラはその名の通りミラー(鏡)がありません。ファインダーで見える像は一度電子化されファインダー内のディスプレイに写っているものです。カメラの背面にあるディスプレイと同じものがファインダーの中にあるということになります。カメラを動かすと一度電子化された像なので一瞬ひずむなど実際に一眼レフで見える像とは感覚が違ってきます。この感覚が一眼レフカメラかミラーレス一眼カメラかの選択に大きな意味を持っています。

ミラーレス一眼カメラのファインダーの像は背面ディスプレイと同じなので、ファインダーから目を離さず撮った写真を確認したり、拡大をしてピントの確認をするなどメリットも多いと思います。デメリットとしては、ディスプレイが二つあるので電池の使用量が多く撮影枚数が少なくなることがあげられます。

 

銀塩カメラの魅力

カメラはもともと機械的に作られ、電池は必要ありませんでした。シャッター幕も絞り羽根もバネで動かす様に出来ており、一枚一枚手でフィルムを巻き上げるというのが、この一枚に想いを込めて写真を撮るという魅力に繋がっていくのだと思います。

カメラをファインダーで覗いて写真を撮る以外に、スクリーンに写して写真を撮るというカメラがありました。そのカメラは二眼レフカメラといい、レンズがその名の通り上下に二つあり、上が像の確認用、下が撮影用となっています。カメラをおなかの前に構え、上からスクリーンに映った像でピントを合わせシャッターを切り撮影します。このスクリーンに映った像はファインダーで見るのとはまた違ったものに見えるから不思議です。もし、二眼レフカメラに出会えたらぜひスクリーンに映った像を見て下さい。

中央にレンズ、その上に景色が見える四角いレンズが付いたものをレンジファインダーカメラと言います。ドイツのライカが有名です。日本でも当時はこぞってライカと似たカメラをたくさんのメーカーが作っていました。写る像とみている像はレンズの位置のズレで違って見えるので、ファーンダーの中で写る範囲の枠が補正する為に二重になっていたり、ピントを合わせる時に枠が移動したり、構造が複雑なのも機械らしい魅力と感じています。

AE(自動露出)が発達し、電池も必要にはなってきましたが、それまでは、自分でシャッタースピードと絞りを決めその瞬間に適正な露出で写真を撮る、現像して初めてそれが良かったのかを見るまでどきどきして待っていることも楽しみの一つでした。今では、絵で人物を撮る時、スポーツを撮る時、夜景を撮る時とカメラ任せでできますが、シャッタースピードと絞りの関係を知れば、背景をぼかし人物を浮かびあげて見せることや、動くものを止めて写すことなど撮る前にこんな写真を撮りたいとワクワクしながらシャッターを押せると思います。今のカメラでもマニュアルで自分で露出を決めることが出来るのでぜひチャレンジしてはいかがでしょうか。

ピントに関しても、AFになる前はマニュアルで合わせていました。ピントリングを自分で回してピントを合わせますが、マニュアルフォーカスレンズのピントリングの動きは適度に重さがあり、今のレンズの様に軽く動いてしまうのとは明らかに違い、ゆっくりとピントが合う嬉しさも感じることができると思います。

 

建築と写真

建築をしていると、記録写真や完成写真など写真を撮る場面がたくさんあります。

記録写真であればアップと引きを撮るのが大切です。実際のものを見ていない人にしっかりと伝える写真にする為です。
伝えたい部分だけをどうしても撮ってしまいがちですが、その場所の周りがどういう状況かを合わせて見ることで的確な判断を導き出すことができます。
完成写真をきれいに見せるのは水平、垂直がちゃんとでていること。なかなか難しく私も良い写真は撮れていないですが、三脚などを使い丁寧に撮っていきましょう。

レンズにも広角、標準、望遠とありますが、広角を使えば写る範囲が広くなり空間を表現するには適しています。

まとめ


カメラを写真を撮る道具として考えるか、持つ喜びのコレクションとして考えるかでカメラの扱い方が変わります。
道具として使うなら良い写真を撮ることに集中するので、置く場所なども気にせず外観に傷がつくこともやむを得ないと思います。コレクションとして考えるなら、少しの傷も付けたくないので置く時も何かを敷くとか扱いも丁寧になります。
少しカメラに詳しい方なら分かりますが、レンズにはカビが生えます。保管の仕方を注意していればある程度防げますが、確実に生えない様にする為に防湿庫で保管をしています。

カメラにはいろいろなデザインや色があるので、選ぶ時には妥協せず一番気に入ったものを選びましょう。きっと永く大切に使っていくと思います。

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高木今朝治 / リノベーション・デザイナー&1級Life space stylist

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